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 通夜式について②

 一般的に、曹洞宗の通夜では、お釈迦様の最後の教えとされている『遺教経』や、道元禅師の教えを記した『修証義』というお経をお唱えすることが多いのですが、当山では、「歎仏」という法要をおつとめさせて頂きます。「歎仏」とは簡潔に申しますと、仏様を褒めたたえる法要でありますが、ここで言う仏様は、お寺や仏壇にある仏像であったり、2500年以前に仏教を開かれた歴史上の人物としてのお釈迦様というよりも、むしろ、お通夜の主人公のお一人である故人のことを強く意識しております。その故人のご生涯に、仏弟子として仏様に対する様な100パーセントの、全幅の敬意を込めての讃嘆の儀礼となりますが、その意識は、儀式の根幹を荷う五体投地という礼拝作法に端的に現れております。五体投地とは、古代インドからの礼拝方法です。両膝、両肘と順に地につけ、次に椅子に坐していらっしゃる仏様の両の足の下に、それぞれ左右の手を仰向けにして差し入れる。そして自らの額が仏様の揃えられた両足の甲に接するのと同時に、差し入れた自らの両の手に仏様の左右の足を上の方へ頂くようにする。最尊最上の敬礼法の一つであるわけですが、相手の足元に自らの頭をもって飛び込み、一切の忖度無しに相手と一つになってしまう作法です。通夜式から、四十九日までの中陰の間、この五体投地礼をつとめる中で、故人には成仏して頂く、と同時に、送る側の我々もまた成仏する、これが葬儀式を勤める大きな意義になります。息を引き取られるとすぐに、親族の皆さん、お一人お一人から礼拝を受けて頂くことになるわけです。ですから、ご参列されるの皆さんもご焼香のあと合掌と礼拝、それこそが五体投地の省略した形であるわけです。その様に思い、念じて頂きまして、皆さんも合掌と礼拝をお勤め下さい。以上が当山での通夜式の説明となります。故人ばかりではなく、我々も三世十方の諸仏と共に、仏の位(一つ生命)を全うすべく、礼拝行に邁進することになります。

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