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正月のお札の解説

 

 今回は、元旦にて行われた「修正会」にて、ご一緒にお経をおつとめした後、参列者のみなさんにお配りしている「歳徳大善神札」、「地蔵尊のお札」、「門札」についてご紹介させていただきます。

 まず、右写真が「歳徳大善神(以下 歳神さま)札」です。歳神さまは、その年の一年間の福徳や五穀豊穣を司る神様のことで、お正月に各自のお宅に来訪されると信じられております。そもそも、お正月に飾る門松は歳徳さんの目印になる様に、松飾のしめ縄は家に迎えるために清浄な結界をめぐらす意味があります。そして鏡餅は、前年の実りをお供えしているということであり、おとし玉も「お歳魂」であり、一年を無事に過ごすべく、歳神さまのお力を授かるということがその由来です。

お祀りする場所ですが、歳神さまは、神棚の下や、壁面の高い位置にお祀り頂ければよろしいかと思います。

 写真の太字部分は「年」という文字を崩してのものであり、その中に「徳大善神」と書かれております。左右上方には「月天子」「日天子」と書かれておりますが、一年は、太陽と月との運行によって成り立っているわけですので、当然歳神さまの司るところとなります。また、左右下方の「水神」「山神」とは、秋の収穫や実りを司り、ひいては一年の無事平穏を象徴する穀物神という面を示しております。

 次に、「地蔵尊のお札」ですが、かつて泉龍寺周辺には、お葬儀の土葬の際、お棺にこのお札を貼るという風習がありました。お地蔵さまは、実は地獄の閻魔様の化身であると言われております。地獄で人間に対して審判を下す閻魔大王と、底なしの慈悲をもって誰に対しても向背なく救いの手を差し伸べるお地蔵さまと表裏一体の関係になっております。お仏壇などにお祀りしていただければと思います。

 「門札(かどふだ)」とは、家の入口である門柱や、玄関に貼る札のことですが、「立春大吉」「鎮防火燭」の二種類があります。当山では一対でお渡ししておりますが、本来それぞれ貼る時期の異なるものです。

 

 立春とは、現代では二十四節季でいう二月初旬の節分の時期ですが、旧暦では春は一月から始まりますので、元日のことでした。「立春大吉」という4文字は全て左右対称な漢字で成ります。ですので、万一、災いという鬼が家に侵入して、家の中を見渡しながら、今来た道を振り返った時、やはりお札は「立春大吉」としか読めません。そこで邪鬼は「まだこの家には入っていない」と勘違いして、もう一度家に入ろうとして、門から出て行ってしまうとされております。何て、まぁ、子供だましなとおっしゃるかもしれません。が、思い立ったが吉日。志を立てて、どこまでも不退転なのが大吉祥であってみれば、おのずから凶邪は退散です。そんな厄除けとして、門柱、または玄関へ向かって右の上方に貼ります。

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 火事は恐ろしい。ほんの一瞬にして、私たちの大事な多くのものを奪い去り、時に、命にもかかわる大きな厄難です。「鎮防火燭」は「火の用心」と同じ意味合いを持つお札であり、火を鎮めるとされております。火の字は、「火」という文字すら忌む習慣があったため「水」と読めるように小さく書かれています。本来は、二月後半から三月中頃の清明の節句に貼っておりましたが、当山では元旦に祈祷しお配りしております。玄関の左上方の、「立春大吉」の反対側にお祀り下さい。

 

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