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一目散に




和尚の雄道です、こんにちは。


五月ってこんなに暑かったですかねぇ?

七、八月はどうなってしまうのか。。。

戦々恐々としております。


五月中旬になりました。

世間では新入社員が、続々と仕事を止めてしまっている様です。


人によって置かれている状況も、考え方も、生き方も違い、

結局その選択の責任は自分自身で取るわけですから、

まわりがとやかく言うことではないのでしょう。


また、健康を損なう様な状態でもやせ我慢をすることには賛成できません。



ところで、私が修行道場にいた時も、入門ラッシュの3月4月頃、リタイア者が多くおりました。


山奥のお寺です。

現代の様に退職代理会社を通して離職するのではもちろんなく、

夜の闇に乗じる、いわゆる脱走という形で行われます。


脱走にも先立つものが必要ですが、

修行中、持たされるお金は限られております。


基本的に入門時、お金の持ち込みは、「涅槃金」というお金だけが許されております。


修行中、病や事故で命を落とす事があったら、その遺体の処理代として、師匠から持たされているお金、1000円。

それが涅槃金です。

要は、葬式代ですね。


その涅槃金千円を握り締め、着物姿でスリッパ履きで逃げ出すわけですが、お寺から駅に出るのにさえ徒歩で四時間近くかかります。


一生懸命に走るのでしょうが、どうしてもその姿は人目を引き、お寺に連絡が入り、それを受けお寺にいる上役の和尚さんが、車で駅に先回りして待ち構え、あえなく御用となる事が多かったようです。


身柄を押さえられた後は、特に叱られたりするわけでなく、優しく上役の和尚さんから諭されるという流れになります。


そんな中でも、

「お寺の後継ぎとして修行を一年やってくれば、高級車を買ってやる。」という様な事を師匠に言われ、物につられてきた様なタイプは、そこから巻き返すのは難しいようで、何度話しても結局帰っててしまう。


一方で、

「もう一度、あなたを送り出してくれたお檀家さん達のお顔を思い出しみな?」

という言葉を掛けられて、涙を浮かべるようなタイプは、意外とその後、お寺の生活が肌に合って、図太く、長く修行を続ける事になったりするとのことでした。


後輩で、入門時からまとまったお金を隠し持った上で逃亡し、そのお金で服を買い、全国にいる知人達の家を渡り歩き、3,4カ月の間実家のお寺との音信を絶ち、5カ月目に師匠に見つかり、半年後に懲りずにまた入門してきたツワモノがおりましたが、逃げるよりも、お寺にいた方がよっぽど楽だったろうと思うですが、

まったく色々な者がおります。


修行道場に残ったもの、出ていった者。


残った者同士も、またそれぞれで、

出ていった者も、またそれぞれの人生を歩む。


人生の選択肢は多いのに、

選べる道が一つだから、

後悔しないことは難しいでしょうが、

どこに進むにも一目散でありたいものです。





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