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生き方いろいろ




甥(おい):「伯父さん。なんで大学行くのかな?」


伯父(おじ):「決まってるでしょ?それは勉強するためです      

        よ。」


甥:「じゃあ何で勉強するのかなぁ?」


伯父:「難しい事聞くんじゃないよ!

    そうだなぁ、

    つまりあれだよ。

    人間長い間生きていれば色んな事にぶつかるだろ?

    そんな時、俺みたいに勉強してない奴は、

    振ったサイコロの出た目で決めるとか、

    その時の気分で決めるしか仕様がない。

    ところが、

    勉強した奴は自分の頭できちんと筋道を立てて、

    こういう時はどうしたらいいかを考えることが出来る 

    んだ、だから皆大学に行くんじゃねえか。」



伯父さんとは、渥美清さん演じる「車寅次郎」。

ご存じ『男はつらいよ』の一場面、

受験に苦しむ甥っ子、満男(みつお)とのやり取りです。



私も大学に通わせていただいた身です。


寅さんの言う様に、

「自分の頭できちんと筋道を立てて、こういう時はどうしたらいいかを考えることが出来る」

と胸を張って言えるかはともかくとして、

論理的に物事を考える訓練は受けてきました。


でも人生って、

全部が全部筋道を立てて考えられる程、

単純では無い。。。

そのことを、大学では教えてくれません。


そもそもこの世に生まれてくることさえ、

ある意味では、

偶々サイコロの目が出たから、

私は今ここにいるわけで。


論理的で合理的なものの考え方は、役に立つけれど、

そればかりが、人間の生き方ではない。


フーテンの寅さん、

感情的で、無鉄砲で、後先考えない、根無し草、

人情に厚く、涙もろくて、気前が良くて、不器用で、


その生き方は、令和、平成と遡って、昭和の生き方でしょう。


しかし令和を生きる私に、

「寅さん」の生き様は、

本当に多くの事を教えて、あるいは思い出させてくれます。


自分と違う生き方に憧れたり、今の人生に疑問を持ったり

いつもふらふら、ふらふら私達。

けど、違う人生にはまた違った苦しみがあり、

悲しみがるわけで、

どこまで行っても、無いものねだりになってしまう。


そういった業を抱えて生きる人間を、

全肯定するのが「寅さん」なのかな?と思います。 



「生きてる?そら結構だ!」 車寅次郎



皆さんもいかがです?

秋の夜更けを「寅さん」とご一緒に。






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