若和尚の雄道です。
今年も、泉龍寺の桜は見事に咲きほこり、間もなく次の季節に移ろうと致しております。
この時節になると、曹洞宗大本山永平寺の、先代のご住職でいらっしゃった宮崎奕保(えきほ)禅師様が、私が学生の時に、テレビのドキュメント番組で仰っておられたお言葉を思い出すのですが、紹介させていただきます。
自然は立派やね。
わたしは日記をつけておるけれども、
何月何日に花が咲いた。何月何日に虫が鳴いた。
ほとんど違わない。規則正しい。
そういうのが法だ。法にかなったのが大自然や。
法にかなっておる。だから自然の法則をまねて人間が暮らす。
人間の欲望に従っては迷いの世界だ。
真理を黙って実行するというのが、大自然だ。
誰に褒められたくも思わんし、これだけのことをしたら、
これだけの報酬がもらえるということもない。
時が来たならば、ちゃんと花が咲き、
そして、褒められても、褒められんでも、
すべきことをして黙って去っていく。
そういうのが実行であり、教えであり、真理だ。
NHKスペシャル 「永平寺 104歳の禅師」より
バチ当たりにも、始めは番組を横目に、他の作業をしておりました。
しかしすぐに、テレビ越しながらも禅師様の何とも言えない迫力に、思わず知らず惹きつけられ、放送に見入っていたことを覚えています。
現在、未曽有の疫病に世界中が見舞われ、私達の取り巻く環境は大きく変化し、右往左往の毎日です。
そのような中、ただ咲き、ただ舞いゆく桜を前に、その潔さには心打たれます。
先日、枝が一部折れていることがわかりました。
しかし桜にとっては折れたなら折れたなりということなのでしょう。
これでもかという位、めいっぱいに咲きみだれ、生命力に満ち満ちております。
刻一刻変化する周囲の環境に踊らされぬよう、大地にしっかり根を張り、できることを精一杯におつとめして参りたいものです。

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