top of page

ほんもの? にせもの?

更新日:2023年10月5日




和尚の雄道です、こんにちは。


ヨハネス・フェルメールという画家がおります。

「真珠の耳飾りの少女」(↑)や「牛乳を注ぐ女」(↓)を代表作とし、「光の魔術師」と評され、生活の一場面を光によってドラマティックに表現することを得意とする、世界的な巨匠です。




「ヴァージナルの前に座る若い女」(↓)と題される絵があります。


皆さん、この絵を見てどう思われますか?




フェルメールの作品は、三十数点程しか現存しておりませんので、一枚発見されるというだけで、それは大変なことです。

上記の絵が発見された時には、その真贋が大問題となりました。


まず初めに、ロンドンのナショナルギャラリーによって、着ているショールのタッチが、フェルメールの技法とは異なるという指摘がなされ、この作品は偽物であることが認定されました。


しかし、時代が下り、その絵の具の顔料を科学的に検証可能になると、この絵に使われている黄色い染料が、フェルメールの時代にしか使われていなかったことが証明され、贋作認定に疑問が投げかけられます。


更に時代が下り、エックス線検査が可能になると、フェルメールの「レースを編む女」(↓)と同じキャンバスで描かれていることが分かり、この絵はフェルメール本人の手掛けた作品であることが認定されました。



 

その結果として、さて、2004年、ロンドンのザザビーズのオークション会場にて、フェルメール作とされる絵が落札されました。

落札価格 33億!


おそらく、偽物と判断されていたら、ここまでの価格にはならなかったでしょう。

美術品の価値というのは、不思議なものですね。


もしかしたら、今後、新事実発覚により、またまた贋作認定へ覆るかもしれません。


偽物とされていた時に、この絵を鑑賞する。

本物とされた後に、この絵を鑑賞する。


絵自体は何も変わっておらず、

変わったのは、我々の中の絵に対する情報だけです。


「この絵には、33億の価値がある。」と思って鑑賞することと、

「その絵は、偽物である。」と思って鑑賞すること。


どちらも我々の判断を大いに曇らせてしまう様に思います。


でも、その「曇り」ってそう簡単には取れないんだよなぁ・・・。

Comments


bottom of page