
若和尚の雄道です、こんにちは。
こんな話があります。
「広い荒野を旅人が歩いていると、突然ゾウが襲ってきます。
当然、旅人は大慌てで逃げ出しました。
逃げている途中、古井戸をみつけ、その傍には藤の木があり、井戸の中にうまい具合に蔓が垂れ下がっておりました。
旅人はこれ幸いとばかりに、井戸に入り、蔓にしがみつき、難を逃れます。
さて一安心かとおもいきや、井戸の暗さに目が慣れてくると、井戸の中には大蛇がおり、口を開けてこちらを食べようと狙っております。
これはたまらんと、上を見ると、自分のぶら下がっている藤の蔓を、白と黒のネズミがガリガリと齧っていて、今にも蔓が切れそうです。その上、外ではゾウが諦めずにこちらの様子を伺っている。
まさに絶対絶命。
しかし、次の瞬間、藤の花から蜜が零れて、旅人の口に入りました。
そのあまりの甘さに、自らの置かれている立場を旅人は思わず忘れてしまいました。」
これは、私たち人間の有様を表現しているとされています。
少し解説を加えさせて頂きましょう。
旅人とは、生きている人間。
ゾウは生老病死でいう「老」の象徴。
古井戸の中に入り、蔓にぶら下がるのは「病」。
井戸の中の大蛇は「死」。
白と黒のネズミは、昼と夜を象徴する時間。
藤の花の蜜とは、「快楽」。
という様に考えられております。
つまり、私たち人間は、若い時は「成長」、ある程度の年齢になると「老い」
といった表現の違いはありますが、常に変化というゾウに追いかけれています。
そして、「病」を経て、「死」を身近に感じ、初めて、自らの「時間」が限られていることを体感します。
そんな中であっても、一瞬の「快楽」に身を委ね、溺れてしまう。
ということを、この説話は私たちに教えているのです。
さて、ではその様な私たちにとって、「救い」とはなんでしょうか?
ここでいう、「救い」とは何なのでしょうか?
是非ご意見をお聞かせ頂きたいものです。
人それぞれ、色々な考え方があるでしょう。
しかし、もし自分なりの答えが見出せたのなら、
その答えはそのままご自身の生き方を形作っていくことになるのでしょう。

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