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『種を蒔く人』を観てきました。

更新日:2022年1月11日



若和尚の雄道です、こんにちは。


これは、フランスの画家、ミレーの『種を蒔く人』です。


ご存じの方も多いかと思いますが、山梨県立美術館に所蔵されている、山梨県が誇る文化財のひとつですね。


丁度近くを通ることがあり、時間に余裕がありましたので、先月行ってきました。



「農民画家」といってもてはやされるミレーですが、それは本人の希望通りというわけではなかったようですね。


裕福な農家に生まれ、「歴史画家」を目指しますが、目が出ない。

生活の為、裸の女性の絵を描き売っていたら、スケベ画家というレッテルを張られる始末。


生活苦の続く中、意図せずに農家の生活を描いた絵を発表したら、労働者が革命を起こしていた当時、大喝采を受けました。


その後、革命政府を抑え、再度皇帝が即位し、今度こそ「歴史画家」の道を志そうとしても、田園風景をモチーフにいた絵を描くことを望まれる。


そこで、農民の生活を描きながらも、しっかり宗教的な要素を取り入れて書かれたのが、

『種を蒔く人』です。


キリスト教の世界では、「種を蒔く人」というと聖書の中に登場します。



種を蒔く人が種蒔きに出て行った。


蒔いている間に、


ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまった。

(頑固に教えを聞くことを拒否する人は、その実りを得られない。)


ほかの種は、石だらけで土の少ない所に落ち、そこは土が浅いのですぐ芽を出した。

しかし、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。

(教えを受け入れても、自身に根付かせなければ、困難がくるとすぐに教えを見失ってしまう。)


ほかの種は茨の間に落ち、茨が伸びてそれをふさいでしまった。

(教えに触れても、私たちの心が誘惑や悩みに覆われていては実を結ばない。)


ところが、ほかの種は、良い土地に落ち、実を結んで、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。

(私たちの心が、教えを柔軟に受け入れれば、その教えはしっかりと実り、それは広がっていく。)



種を蒔く人=神

種=教え

土=私たちの心のあり様




という教えを前提としております。


畑違いではありますが、人間関係や生き方にも応用できる、含蓄のある教えですね。



ミレーは、世界的にみても、美術史の中に名を残す人物で、存命中も名声を勝ち取りました。


しかしその裏では、

自身の本当に表現したいことは伝わらず、

描きたいものは評価されなかった。


そういった事情も踏まえて、ミレーの作品を観ると、名画がより胸に迫って感じられます。


山梨県立美術館の回し者というわけではありませんが、近くにお越しの際には、一度お立ち寄りになってはいかがでしょうか?




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